研究分担者 |
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30135628)
藤本 博 京都大学, 工学部, 助教授 (40026068)
長尾 善光 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40027074)
村橋 俊一 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60029436)
富岡 秀雄 三重大学, 工学部, 教授 (20024599)
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研究概要 |
62年度は次の3分科会に分けて研究を実施した. (1)カルベン,ナイトレン,シリレンの電子構造に基づく物性の基礎的研究と新規機能性材料の開発 (2)カルベン,カルベノイドの特質を利用した高選択的合成反応の開発と有機合成への応用 (3)シリレン,ナイトレンの新規反応性の開発と機能性材料合成への応用. 研究成果は62年12月18,19両日開催の公開研究発表会に持ちより,意見の交換と討論を行うとともに, 63年度の研究立案を行った. 主な研究発表内容を次に抄録する(詳細は添付の発表会予稿集を参照されたい). 1)カルベン反応での隣接基関与の効果を分子内にカルボキシラートやホスホナートなどのアニオン基を持つカルベンを発生させて検討したところ,求核的性質が顕著に出現することが確認された(富岡). 2)αーPd置換ジアゾ化合物の合成に成功し,そこから新規カルベン種としてαーパラジウム置換カルベンを発生させて反応性を検討することが可能となった(村橋). 3)アルケニルヨウ素(III)化合物ならびにアルキニルヨウ素(III)化合物からのカルベン生成と,その分子内CーH挿入反応を利用したシクロペンテン環形成反応をデザインし,生理活性物質合成への反応の応用を開発した. (長尾). 4)ポリシラン類の光反応により発生させたシリレンの反応において,R_2Si:とR_2SiーSi(Ph):とでは反応挙動が著しく異り, 区別選択して合成的に利用できることを見出した(石川). 5)カルベンの動的挙動を調べる目的でカルベンのスピン状態に及ぼす外部磁場効果を調べたところ,カルベンのかご内反応で付加体が生成する反応が,一重項から起こる水素引抜き反応であることを見出した. (谷本). 6)アルコキシドのαーCーH結合へカルベン挿入が起こり易いことを応用して,アルコールα位での新規な炭素・炭素結合形成反応を開発した. さらにカルベノイドによる本反応がH_-引抜き再結合の段階的に進むことも立証した(奥).
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