研究概要 |
本年度の研究実績は,次の四点となる. 1.5月21日に学内全員の連絡会議を開き, 研究方針の要項を学外関係者に連絡. 6月, 總合調査対象の宇和島にいて予定調査のため, 現地周辺研究者と接觸し, この情報に基き, 7月下旬, 宇和島總合調査を行った. 調査とあわせて, 当地の研究者の参加をえて, 研究報告会を開いた. 2.言語・文学・歴史関係資料のデータベース構築については, 実行に先立って基礎的な方針・方法の検討を行い, 試行段階の入力を開始した. 3.12月5.6日, 広島大学で, 《外から見た瀬戸内海》の統一テーマで研究分担者会員による研究報告集会と, 公開講演会を開いた. 4.以上の全体活動の外, 各チームは領城別に調査活動を行った. 以上の中, 1.及び3.について, やや具体的に述べる. 宇和島総合調査については, 伊達家の資料調査を中心に, 同市周辺の個人蔵書家の資料をも含めて, フイルムに収め, 生活言語調査の担当者は広くフイールド活動を行った. 宇和島伊達家の三巻本枕草子の写本はじめ, 従来知られていない遺重文献を調査したほか, 日振島の資料などを含めて, 分析を行い, その一部は, 3の研究集会において発表, 活字化を進めている. 全員による研究報告集会では, 《外から見た瀬戸内海》のテーマに即して, 「古代地中海古界における東西・南北交流」「中国と日本ー東アジアの内海文化」の公開講演を行い, 内海文化の共通性・育値性について, 比較文化学的な視点を設定すると共に, 瀬戸内海を対象として, 奈良・平安時代における内海交通, 石器原材料の移動の実態, 学問と教育, 人口移動と都市の同郷団体, 備後南部の封建末期農業の再編成, 性向語彙の地域性とその変容, 文芸の中央志向と地域意識などのテーマで, 東西・南北交流の実態解明につとめた. (分担者の個別的研究はここで省略).
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