研究概要 |
本年度は,大別してインド・中国・日本の3分野に分けて,各研究分担者による分担課題の研究を進め,研究代表者は分担研究相互の関係を調整しつつ,その体系的なまとめ方について検討した. 1.インド関係 (1)インド思想一般については,古代及び中世のインド思想の主要な文献,即ちヴェーダ聖典,叙事詩,六派哲学などの諸文献に当たって,インド人の生死観の特色を探った. (2)インド仏教については,原始仏教・部派仏教における生と死の諸問題を考察し,仏教説話にあらわれた生死観,中観思想及び唯識思想における生死観を取り上げ,さらに後期インド仏教における生死観を検討した. 2.中国関係 (1)中国思想一般については,古代の儒家・道家の代表的な死生観を取り上げ,さらに近世における宋学を中心として, 中国人の死生観の特色の一端を探った. (2)中国仏教については,初期漢訳経典にあらわれた生死観を究明し,特に隋・唐以降に大成した浄土教と禅宗における生死観に焦点をあてて,その構造を究明した. 3.日本関係 (1)歴史的視点から,日本への仏教伝来以降,奈良・平安仏教,鎌倉仏教,室町仏教,江戸仏教,明治仏教における生死観の流れを跡づけ,それぞれの生死観の特色を探った. (2)思想的視点から,主要な宗祖を取り上げ,特に最澄・空海・栄西・法然・親鸞・道元・日蓮・一遍の生死観については,いずれかの分担研究の中で論及するように調整した.
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