研究課題
本研究の目的は大正新脩経全85巻の総索引の完成にあたる。龍谷・大谷・高野山・駒沢・大正・立正の六大学の共同研究を三年間にわたって行い、大正新大蔵経第67・68巻の日本唯識典籍関係の中から重要なる学術用語の摘出を行った。本年度は、前年度前々年度に引き続き諸典籍から摘出した学術用語の検討・カ-ド化。収録用語の意味内容の考察、項目別分類。カ-ド化された用語の配列、原稿化浄書等の諸作業を行い研究を完了した。また・龍谷大学:成唯識論述記集成編1-19巻・大谷大学:成唯識論述記集成編20-29巻・高野山大学:成唯識論述記集成編30-49巻・駒沢大学:成唯識論述記集成編40-49巻・立正大学:成唯識論略疏・立正大学:摂大乗論釋略疏の各大学の研究から次のような研究成果を得ることができた。それは鎌倉期の貞慶、良遍による新しい唯識観の体系の提唱である。この観法の特色は、三無性に重点をおく「空観」を強調した点にあり、それまでの唯識観はあくまでも三性観であった。ところが、貞慶と良遍は最終的に真理を証するものは空観であるとの見地より、徹底的に空観を重視した三無性空門の唯識を組織し大成したのである。このように貞慶・良遍によって体系づけられた三無性空門の唯識観は中道の考察から案出されたものであり、その源をたどれば慈恩所立の四重二締説にまで行きつくのである。
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