本研究は、知覚、学習および意識といった心理現象を精神生理学的・神経心理学的手法によって解析することを目的として、昨年度より研究を進めている。具体的には、以下の3つの分担課題を設けて研究を行っている。 1.分担課題(1) 視覚体制に関する生理心理学的アプローチ ヒトの視知覚の体制について生理心理学的にアプローチするために、比較的単純な感覚刺激(光刺激)に対する誘発電位の潜時・振幅などの変動から、高速フーリエ変換によるパワスペクトル分析を行い、感覚情報処理過程に関する生理心理学的モデルの試案を作成しつつある。 2.分担課題(2) 学習に関する生理心理学的アプローチ 動物の学習・記憶の体制について検討するために、主として大脳辺縁系の海馬のニューロン活動の分析と、海馬の損傷効果について検討し、学習・記憶にかかわる海馬の役割について考察を進めている。 3.分担課題(3) 意識水準と情報処理能力に関する生理心理学的アプローチ ヒトの意識水準と情報処理能力について明らかにするために、自然状態下でのヒトの基本的覚醒-睡眠リズムを、多部位から導出した脳波の各周波数帯域別の等電位分布によって解析を進めた。
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