研究分担者 |
安東 潔 実験動物中央研究所, 精神薬理部, 部長 (90072404)
木田 光郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (80023654)
藤 健一 立命館大学, 文学部, 助教授 (20097885)
浅野 俊夫 愛知大学, 教養部, 教授 (30027487)
今田 寛 関西学院大学, 文学部, 教授 (60079613)
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研究概要 |
本年度の研究実施計画通りに第1回の研究集会を62年11月に2日間広島において,第2回の研究集会を63年2月に3日間神戸において各研究分担者による研究計画や実施状況,それまでの研究成果等について情報交換及び討論を行なった. 本研究の主目的は,從来の実験心理学における研究のほとんどが1日の特定の時間帶に被験対象を抱束して行なっていたことに対する見直しを迫る. つまり1日24時間連続実験によるデータと從来の短時間実験のデータとの比較やその意義を検討することである. そのために,行動の生態学的,時間生物学的,行動薬理学的アプローチを行なっている研究者8名が研究分担者となっている. 第1回の研究集会では,各アプローチ領域における長期の実験環境の制御,研究手法,データの分析システム等を中心に情報交換を行ない,合担者相互に実り多い知見を得た. 例えば,1台のマイコンで複数の実験を同時に走らせる自主開発プログラムの提示や,摂食行動をその持続時間によって食亊とみなすデータ処理によって行動分析に新たな視点をもたうしうる等,今後の研究推進に多くの利得をもたらした. 第2回の研究集会では各アプローチ領域におけるそれまでの研究成果について発表と討論を行なった. 焦点の1つはストレス場面における個体の環境適応に関するものであり,長期実験と短期実験との間に相反する亊実が見出された. つまりストレス刺激の到来予測が不可能な条件では短期実験の場合にその嫌悪性が大きく,予測可能な条件では長期実験の場合に嫌悪性と残存効果が大きいという知見が得られ,その意味について長期と短期実験がもたらす生体の動機づけの遠い等が活発に議論された. その他信サルの薬物摂取行動やラットのメチル水銀投与下での食物摂取行動の長期実験について発表と討論が行なわれた. 今後,これらの知見をもとに研究を推進し,63年秋に拡大研究会を実施することを計画した.
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