研究課題
総合研究(A)
本年度の研究も昨年度と同様、3つの研究班に分かれて行なわれた。実験心理班は1)錯視図形を持続視している場合の錯視量の減少過程、2)位置を手がかりとした時系列の学習、3)時呈を反復して示すことが学習効果と同一であるかどうか、4)正弦波を重るたものを追跡するトラッキング動作の学習、5)長期にわたる剣道の練習が難聴の原因となるかどうか、6)テレビの笑い番組の演者がリズミカルに観客に働きかけることが笑いを生みだすことになるかどえかを、それぞれ研究したものである。発達心理学班は、1)個人の持つ他者理解のための認知的枠組、すなわち「個人的コンストラクト構造」の時間的変化をレプテストを用いて研究した。被験者は大学生で2年間にわたって面接が続けられ、他者理解の構造の変化の様子が明らかにされた。2)大学生における無気力傾向の3年間にわたる変化が追求された。男子ではこの傾向が減少し、女子では増加していること、またいずれの場合もいわゆる完全癖の傾向の増大が認められた。以上はいずれも青年期後期の発達にかかわる問題である。社会心理学班は鹿児島県奄美大島においてほぼ30年前の調査結果との比較を行なった。昨年度に収集された調査データーを詳細に分析し、奄美大島島民の30年間の生活や意識の変化を観察した。また、奄美大島名瀬市において有職者に面接調査を行い、島の発展について何らかの形で指導的な立場にあった人から見た30年間の変化についての意見を収集した。更に、徳之島及び奄美大島の警察官、少年補導員、保護司などへのインタビューを行い、少年犯罪という面からも奄美諸島の生活、文化、意識の変遷について考察を加えた。
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