研究課題/領域番号 |
62301027
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
佐久間 孝正 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80004117)
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研究分担者 |
北村 寧 福島大学, 行政社会学部, 教授 (10097454)
藤山 嘉夫 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (60156916)
湯田 勝 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (10100984)
中山 伸樹 東洋大学, 社会学部, 助教授 (60180436)
小山 陽一 静岡大学, 人文学部, 教授 (20066608)
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キーワード | イエ社会 / ウジ社会 / イエ社会のサイクル / 脱工業社会 / 時間論 |
研究概要 |
昨年度に引きつづき、日本文化の「特殊性」と「普遍性」をめぐる問題の討議を継続した。前半は、前年度からの継続分で「文明としてのイエ社会」の分析をおこなった。この書物は、あえていうならば、マルクスが唯物論にもとづいてこれまでの人類史を通観するような史的唯物論を構築したとすれば、それにも比肩しうるような壮大な規模で、日本を「イエ型社会・組織との自己転回として、「日本文化史観」を展用したところにある。この書物の中には、日本文化の「特殊性」と「普遍性」を問う「ウジ社会」「原イエ」「イエ型組織原則」や「イエ社会のサイクル」といった重要な概念が数多く駆使されているが、それがどの程度妥当性を持ち、かつ現代日本の文化・社会状況の歴史的位置なり国際社会での布置状況を写しだしているかを検討した。 後半は、山崎正和の論文を中心に経済社会の「美学」の積極面と消極面との分析をおこなった。氏の論文に焦点をしぼったのは、今年度が科研費の「まとめ」の時期にあたるため、これまでの討議論稿の中から中心になり得るものを特定化する必要があったのと、さらには本年が、D・ベルの脱工業化社会のペシミズムを乗りこえるものを持っていると考えたからである。周知のようにベルは、脱工業社会=高度元象消費社会には、「モノ」の豊かさによって財の希少性は乗りこえられたが、ますます時間の奴隷とされ、モノの豊かさを追及する限り、時間の希少性を乗りこえることは不可避とした。とかるに消費社会の「美学」の主体は、時をおしみなく浪費することによって、時間の希少性をも乗りこえうる視点を提起したことにある。この視点の積極面と合わせて消極面を検討した。 われわれの課題に対する研究費は、今年度で打ち切られるが、このテーマは、今後も継続していく予定である。
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