研究概要 |
4つのワーキング・グループを設けて研究を行ってきた. 第1グループ(教育実習の歴史的・地域的研究)では, 広島高師, 明石女師など戦前の教育実習に関する歴史的研究がすすみ, 教員養成の仕上げとしての実地授業から, 教育研究の一環としての教育実地研究への移行が, 戦前から確実に進行していることが確認された. その具体的内容の一層の追求に取り組んでいるところである. 第2グループ(教育実習指導形態の研究と開発)では, 教師の授業設計能力に焦点をあてて要因分析を行ってきた. また, メディアミックスを志向した授業設計法の開発, コンピュータ教育の授業モデル化の研究に取り組んでいる. 第3グループ(教育実習における教師の力量形成とその評価)では, 初任者研修制度が各県で実施されようとしている状況のなかで, 大学における就職前教育の基礎的・基本的内容は何かを, 教育実習の位置づけを中心として追求している. 第4グループ(諸外国における教育実習の比較研究)では, アメリカ, ソ連, オーストリア, 中国, 韓国などの教育実習に関する情報を収集し, 内容の検討を行っている. これら研究の主な内容は, 日本教育方法学会第23回大会で3人の報告者から発表され, 検討された. 戦前の師範学校の教育実習の実態が明らかになってきたことは大きな収獲であり, 特に昭和初期の新教育実践の動向との関係を一層深く追求することが重要な課題として求められている. 初任者研修制度が進行するなかで, 各大学での教育実習改善の動きも活発であり, これら最近の動向を正確に把握し分析することも緊急の課題として求められている.
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