研究概要 |
各班毎に計画に從い基礎資料及び先行研究資料の収集・分析を行った. それをもとに先ず異文化接触の理論研究とその実験を重ね, さらに中国内における異文化接触及び中国周辺地域の文化接触についての基礎研究を行った. それらの成果は以下の通りである. 1.異文化接触がおこるのは個人間, 集団(国家・民族)間, 個人と集団間の組み合わせが考えられる. その原因は, それぞれがもつ文化(価値)体系がちがう異文化要素が接触し, その過程で承認・受容, identityの強調などに迫られておこる. そこには支配・從属関係が生じ種々のculture conflictが生ずるが, この解決策には回避, 強制, 折衝, 仲裁などがある. 2.タテ軸を+^^<プラス>,-^^<マイナス>極に分け, ヨコ軸をconflict度とする一つの文化曲線を考え, 十極では好奇心, 畏敬などに進み, 一極では喪失, 拒否へと進むものとする. culture conflictをできるだけ十極に向わせるよう教育効果を高める応用への実験を計画検討している. 3.異文化接触の場合, それぞれの民族のもつ風土の響響が極めて大きい. 北方異民族の遊牧性は農耕漢民族とは相い容れない. そこでconflictを回避・摂取の調整方式により, プラスの極に転移させている. 4.異文化接触では, 強い文化に早く同化されるように, 自己固有文化を浸透させるため從属・優越型がおこる. キリスト教の中国布教はこの例である. 5.中国及び日本における近代化では, 欧米先進文明の受容型がちがっている. 中国では支配優越型をもって受容した. 日本では支配劣等型をもってし, 脱亜論が大きな力となった. これが現在における日・中の差を生んだと考えられる.
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