研究課題
総合研究(A)
2年間にわたる研究において、次のような成果をえた。1.異文化接触では、tension関係、culture conflictのあり方、involutionの性格、acculturationのあり方、などについてそれら相互関連とその意味を把握することが重要である。2.文化曲線(研究成果1〜13夏、長瀬論文参照)の操作(上手に利用すること)によりculture conflictを少なくすることができる。コッホのいう方法と文化曲線を連結することにより、異文化接触論の深化をはかることができる。3.中国の北方民族と漢民族の異文化接触は、最初は北方民族の支配優越であるが、文化変容によって、やがて従属(漢民族)優越にかわる。4.新疆省設置にともなう漢人コロニーの建設による移動の移入や、台湾における同姓宗観念の結成などは、生活文化の一要素が移入されたもので、これが文化曲線のマイナス極に入りすぎる(この要素が強められる)と、mflictが拡大する。5.中国の禅宗、儒教、仏教が朝鮮に移入されたとき、朝鮮では外来文化の有効性を摂取して文化変容をおこした。6.日本の明治初期における外来の医療文化の導入や、三井家における同族を派遣して海外の経済システム導入にあたっては、日本における土着文化のin volutionが強く作用して、外来文化の選択的・折衷的な摂取をして、本質的な面までの変容はおこらなかった。
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