研究課題/領域番号 |
62301050
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
下村 由一 千葉大学, 文学部, 教授 (70092062)
|
研究分担者 |
早坂 真理 茨城大学, 教養部, 助教授 (80164929)
林 忠行 広島大学, 法学部, 助教授 (90156448)
池田 嘉男 千葉大学, 教育学部, 教授 (10006554)
金子 亨 千葉大学, 文学部, 教授 (20008949)
南塚 信吾 千葉大学, 文学部, 教授 (50055315)
|
キーワード | マイノリティ / ネイション / ネイション・ステイト / エスニシティ / 民族 / 言語 / 宗教 |
研究概要 |
1 本年度は、9月、12月に研究参加者全員の加わる合宿研究会を開き、11月には東欧史関係の部会を持ったほか、89年1月には、イギリスの研究者を招いて特別研究会を開いた。また、史料の収集もほぼ予定どうりに進んだ。そのような研究活動を通じて、当初の研究目的は順調に達成された。以下に経過を略記する。(1)1988年9月の合宿では、イタリア、北欧のマイノリティ問題を検討した。とくに北欧におけるラップ人問題の重要性を認識した。(2)11月には東欧部会を開いて、とくにバルカンにおけるマイノリティ問題をコソヴォ問題を中心に検討した。(3)12月の合宿では、ロシア、ポーランド、ハンガリーのマイノリティ問題を検討した。ロシアについてはユダヤ人問題がテーマであった。また、ハンガリーの南部の国境地域のマイノリティ問題の具体的現状の研究が示された。なお、この時、1989年3月に出版予定の「報告集」の編集方針を決定した。(4)1989年1月には、イギリスの歴史家ロビン・オーキー博士による講演とシンワポジウムを行った。テーマは、「イギリスにおける民族的マイノリテイ問題」で、イギリスにおけるアイルランド、ウエールズ、スコットランドのマイノリティとしての問題を比較して議論した。 2 今年度の研究においても、マイノリティ問題の現状と歴史的起源についての多くの知見を得ることができた。とくに、先年度に十分検討できなかったロシアと北欧におけるマイノリティ問題が検討できた。そして、マイノリテイ問題なるものにも、地域的・時代的にさまざまな性格があること、19世紀の東欧・ロシアを中心とするマイノリティ問題と1960年代から顕在化する西欧や北アメリカでのマイノリティ問題とは区別されるべきことが確認された。また、今年度はマイノリティ問題を具体的な一定の地域において研究した成果も検討され、その重要性が承認された。今後はこのような調査研究が必要になっていると考えられる。
|