研究分担者 |
野村 美明 大阪大学, 法学部, 助教授 (20144420)
渡辺 惺之 大阪大学, 法学部, 助教授 (30032593)
松岡 博 大阪大学, 法学部, 教授 (30028013)
小原 喜雄 神戸大学, 法学部, 教授 (60108420)
中野 貞一郎 大阪大学, 法学部, 教授 (50027992)
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研究概要 |
外国判決・仲裁判断の承認・執行法の改正に関する比較法的及び実証的研究の本年度は外国民商事判決の承認・執行に重点を置く. 1987年度現在16州により採択されるアメリカ合衆国の1962年統一外国金銭判決承認法は, 相互の保証要件を拒否して, 外国におけるアメリカ判決承認の可能性を高める. 承認拒否理由を義務的と裁量的とに分け, 義務的拒否理由たる対人管轄権を具体的に規定する. 承認される外国判決は姉妹州判決と同じ方法で執行される. ニュー・ヨーク州及びカリフォルニア州が加入するこの統一法はアメリカ法との相互の保証の判断をなすためにきわめて重要である. 合衆国国際関係法リステートメント第481条及び第482条に示される外国判決承認の規則は, 統一外国金銭判決承認法に準拠するが, 金銭判決に限定されず, 一般的に外国国家行為に対し内国でいかなる効果を, 認めるかという問題設定に立つ. 外国手続に対する効果の付与にとり, 礼譲の概念が重要であり, 相互の保証は連邦破産法においても要件とされない. 大陸法では, 西ドイツにおける1986年の民事訴訟法第328条の改正は, 根本的変革をもたらさず, 同条1項2号の適法な送達の要件は内外人の区別をなくした. 相互の保証要件は維持される. オーストリア法は, 外国判決の執行のみを規定し, 承認規定を欠き, 外国離婚判決の承認を不安定とする. 相互の保証は, 条約又は政府声明によりその宣言がなされている国の判決のみを執行する. 外国未確定判決の承認を認める最近の動向は仲裁における保全処分の執行問題に展開する. 欧州共同体の国際民事訴訟法に関するブラッセル条約とイタリア法に関しミラノ大学ポカール教授を囲んで討論を行う. わが国における外国判決に対する執行判決請求に関する若干の未公刊判決を入手し, 特に子の引渡請求事件の判決を研究する.
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