研究課題/領域番号 |
62301064
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西 賢 神戸大学, 法学部, 教授 (70030608)
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研究分担者 |
野村 美明 大阪大学, 法学部, 助教授 (20144420)
渡辺 惺之 大阪大学, 法学部, 助教授 (30032593)
芹田 健太郎 神戸大学, 法学部, 教授 (60031449)
松岡 博 大阪大学, 法学部, 教授 (30028013)
小原 喜雄 神戸大学, 法学部, 教授 (60108420)
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キーワード | 外国仲裁判断の承認及び執行に関する1958年のニュ-・ヨ-ク条約 / 国際商事仲裁規範法 / 三菱自動車事件 / 国際商事仲裁センタ- / 仲裁法試案 / 東京仲裁 / 仲裁手続の準拠法 / 仲裁判断による仮りの措置 |
研究概要 |
外国判決・仲裁判断の承認・執行法の改正に関する比較法的及び実証的研究の本年度は外国仲裁判断の承認・執行に重点を置く。 外国仲裁判断の承認及び執行に関する1958年のニュ-・ヨ-ク国連条約へのアメリカ合衆国ならびにカナダの加入及び国連国際商取引法委員会による国際商事仲裁規範法の成立に対応する各国の反応を考察する。たとえば、アメリカ合衆国において、1985年三菱自動車事件において最高裁判所は独占禁止法上の請求が仲裁可能であると判示した。仲裁可能性の拡大に伴い、ニュ-・ヨ-ク条約の解釈としてかような仲裁判断の承認・執行が公序に反しないかが問題とされるであろう。カナダのブリティッシュ・コロンビア州において国内仲裁と国際仲裁を分離する立法が整備され、国際商事仲裁センタ-の活動によって、汎太平洋取引紛争を一手に引受けようとする。 わが国において仲裁研究会は民事訴訟法から分離した独立な仲裁法を制定すべき仲裁法案を提示した。それは国内仲裁と国際仲裁を包括する立法の提案であり、国内仲裁の不振を国際仲裁によって補強する無理を伴う。東京仲裁を伸長するためには仲裁手続の準拠法を仲裁地に限定せず、当事者がこれを指定できることを認めるべきであろう。外国仲裁判断は、企業活動の国際化から必至であり、その承認はニュ-・ヨ-ク条約で十分であろう。わが国として国際仲裁を行うべき仲裁機関の整備こそが急務である。 仲裁判断により暫定的な仮りの措置をとりうるかは、当事者による任意の履行にまたざるをえず、裁判所の協力義務(民事訴訟法796条)とのかねあいで執行が問題となろう。この問題に対する各国法制の実証的検討が課題として残される。
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