研究課題
平成元年度は、総合研究のまとめの年であり、研究成果の出版(仮題「事実誤認の救済」)を目標に各研究分担者が自己のテ-マにつき研究を継続した。平成元年7月29日・30・31日、箱根で全員による合宿研究会を行い、各自がそれぞれの研究テ-マの中間報告を行い意見を交換した。その中でとくに「自由心証主義の評価とそのあり法」「直接主義と上訴・再審」「二重の危険と再審」という重要テ-マについては、詳しい報告と徹底した討論が行われた。今次の研究は、上訴又は再審のための新証拠が出される前の証拠状態のもとでも、果たして原裁判の結論に達しうるものであったかという角度からの事実認定に研究を含む点で、斬新さを有している。そのような角度から、記録に基づき「弘前事件」「島田事件」「大森勧銀事件」「鹿児島夫婦殺事件」について、担当者がグル-プ研究をもとにした報告を行い、討論した。ヒアリングは、「遠藤事件」および「山中事件」の各担当弁護士による報告を聴取した。事務局合宿は2回行い、全体の研究計画の準備・調整、事件記録の収集、研究成果出版の準備などを行った。その機会に合わせて、とくに「控訴審における事実審査」のテ-マで共同研究も行った。最後のまとめとなる総合研究は、A総論I(事実誤認救済の制度と理論)7テ-マ、B総論II(事実誤認の理論と実際)9テ-マ、C各論I(控訴)4テ-マ、(上告)2テ-マ、(再審)8テ-マ、D各論II(事例研究)4事件で構成されており、各研究分担者による研究成果の執筆が目下進捗しつつある。
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