研究分担者 |
佐々木 毅 東京大学, 法学部, 教授 (90009803)
後 房雄 名古屋大学, 法学部, 助教授 (20151855)
犬童 一男 神戸大学, 法学部, 教授 (60107919)
水口 憲人 大阪市立大学, 法学部, 教授 (60047371)
石川 捷治 九州大学, 法学部, 助教授 (30047740)
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研究概要 |
初年度に当たる今年度は, 計4回の研究会(うち2回は合宿研究会)を開き, 研究分担者中の政治学会年報執筆予定者(13名)から中間報告を受け, さらに本研究会参加者以外の専門家の報告も交えて, 討議を深めることができた. その中で得られた知見・成果を列挙すると, 次の通りである. (1)「福祉国家」問題に関する近年の我が国における代表的共同研究(『福祉国家』全6巻, 1984年, 東大出版会刊)を生んだグループの代表者をゲストとして招き, その成果を攝取すると同時に, 政治学者のみから構成される本研究会による「福祉国家」問題への取組みが持つ独自の意義を確認することができた. (2)年報執筆予定者全員による中間報告とそれをめぐる本研究会参加者全員による集中討議の積み重ねは, イギリス, スウェーデン, 西ドイツ, アメリカ, 日本等の「福祉国家」問題をめぐる近年の動向と, それを対象とする政治学者たちによる内外の研究動向について, 本研究参加者の間に共通の理解を生み出し, これから仕上げの段階に入ることになる研究分担者による個別研究が一層広い視野のもとに行われることを可能にした. (3)また本年度の集中討議の結果, 従来の内外における研究は, (a)「福祉国家から福祉社会へ」という命題の取扱い(具体的には「自助」の理念や自治体の役割の理論化)並びに(b)「国際化時代の福祉国家」問題という視点の2点を中心として, 今日の新しい時代の様相への対応において極めて立遅れており, その点の克服が今後の課題となることが明らかになった. (4)その結果として, 一方では, とりわけ我が国における「福祉国家」問題の先端的状況についての一層の調査・解明が課題となると同時に, これまでの内外の「福祉国家」問題にかかわる一連のキーワードの再点検と再定義が必要であることが明らかとなった.
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