研究課題/領域番号 |
62301079
|
研究種目 |
総合研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
商学・経営学
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
原澤 芳太郎 東北大学, 経済学部, 教授 (70004190)
|
研究分担者 |
高橋 伸夫 東北大学, 経済学部, 助教授 (30171507)
藤田 稔 山形大学, 人文学部, 助教授 (30165394)
小倉 昇 東北大学, 経済学部, 助教授 (10145352)
河野 昭三 東北大学, 経済学部, 教授 (70111333)
加藤 勝康 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (10004194)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1989
|
キーワード | 民営化 / NTT / 事業部制 / 管理会計 / 新規事業 / 人事考課 / 電電ファミリ- / 分割問題 |
研究概要 |
本調査研究は、日本電信電話公社の民営化プロセスを、主として経営学の立場から分析するところにある。調査から得られた知見の主なものは、次の如くである。 (1)当該民営化については、一部反対がみられたが、基本的に労使共に賛成であったことが今日の成功の主因である。とくに、三公社横並びの賃金水準の払拭は、民営化への内的原動力となった。 (2)獲得された「投資の自由」に基づく新規事業は、人員合理化のための受け皿というよりもむしろ事業領域の拡大を意図するもので、そこにはNTTを中核とした新しい企業集団の形成の可能性がみられる。 (3)サ-ビス別事業部制の導入により、利益責任単位が分散されたが、それに伴う内部コントロ-ル(管理会計)制度が充分整備されていないところから、新しいセクショナリズムの発生がみられた。 (4)民営化の成否は、従業員の意識変革の程度に大きく依存するが、経営側による人事政策の転換方針(職能資格制度)にもかかわらず、組合側のチェック機能によって、一般従業員に対する新しい人事政策は、従前と比べ実質的な変化はみられない。意識変革の推進力は、外部競争の進展如何に依存するものと思える。 (5)通信機器の下請け生産の恩恵にあずかってきた電電ファミリ-は民営化によって電電離れを加速させたが、積滞解消の約10年前からその傾向がみられた。環境変化の先見性のあるファミリ-企業は発展し、その対応に遅れた企業は低迷している。 (6)NNTの分割問題は、通信網の効率性と市場競争の促進の二点に絞られるが、究極目的は、高品質・低価格のサ-ビス供給にあるところから、競争促進のみを指向する単なる分割論議では、問題の解決にはならない。電気通信事業にあっては、公共性と企業性のニ-ズを共に充足するべく、産業組織、経営形態、経営管理、および労働組合、の在り方などが、総合的に討究されなくてはならないものと思われる。
|