研究概要 |
樋口と笹谷は,山岳信仰・山岳景観についての既存研究を参考に,日本の名山・聖山を神奈備山型,高山大嶽ー浅間山型,高山大嶽ー修験霊山型の三つに分類し,名称,位置,標高,山容などにもとづく日本の名山・聖山のデータ・ベースを作成した. 名山・聖山は三分類どこにそれぞれ明快な山容を特徴としてもつことを地形図により示した. このことについては,コンピュータ・グラフィックスにより次年度詳細に検討する. 神奈備山型の名山・聖山については,神社あるいは集落から望む仰角を測定し,これもデータ・ベース化した. 北村は,名山・聖山のデータ・ベースの中から,山名が地形からつけられたと判断できる山を抽出し,その命名理由を,山頂の形態,稜線の線形,綾線の形態によるものであるとした. さらに,関東中部地方の中学校の校歌で山を歌っているものを選びだし,山の影響圏域,山の表現法の歌詞にみられる違いなどを分析した. また,浅間山型の名山・聖山の代表的なものについて可視領域図を作成した. 窪田は,コンピュータ・グラフィックスによる地形景観透視図作成のためのアルゴリズムの比較検討を行なった. 格子点データにもとづくグリッド・パターン方式は,スカイラインの表現に不自然さが残る. 等高線データによる表現は,スカイラインを明瞭に表現できない. 視線方向に鉛直な面による地表面の横断面の輪郭を描くクロスセクション方式は,スカイラインの表現に現実感がある. しかし陰影の把握ができない. グリッド・パターン方式にスムージングやシェーディングを施すことにより現実感のある図が得られる. 以上のことが明らかになった. これらの結果を考慮しながら,次年度は透視図を用いた分析を押し進める.
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