研究概要 |
本研究は,応用数学の中心をなす計算数学と応用解析の総合的研究を目的とし,非線形方程式の反復解法,非線形発表方程式の解析,数値積分公式の構成と誤差解析等々につき,分担者15名の協力を得て研究を行った. この研究は2年間の継続が認められ,本年度は初年度であることを考慮し,各分担者は相互に交流して情報交換を行いつつ各分野の研究資料の収集にもつとめた. また,62年12月22日〜24日京都大学数理解析研究所において,関連する総合研究(A)の代表者五十嵐滋(筑波大学教授),三村昌泰(広島大学教授),米田信夫(東京大学教授)および山本の計4名を組織委員として,応用数学合同シンポジウムを開催,各自の研究成果を発表すると共に,討論を行って研究の進展をはかった. さらに,代表者山本は,本年1月10日〜13日,Winter Institute「計算数学の世界」と題とする研究会を大阪府松下電器産業(株) 教育訓練センターにおいて開催し,計算数学の分野における研究の現状,未解決問題等を明らかにすると共に,今後の研究方向を探った. これら研究会における成果は次年度の研究に反映させたいと考えている. 尚,代表者はここ数年行ってきた非線形反復解法に対する誤差評価法の研究をさらに発展させて,Banach空間におけるKrasnoselskii-Zincenko型反復に対するKantorovich型収束定理を導くと共に,Zabrejko-Nguen(1987)により証明なしに与えられた事後誤差限界がMiel型限界よりも鋭いことを証明した. 前者はCauchy生誕200年を記念して西ドイツより発行される論文集に招待論文として受理されている. また後者は雑誌Numerical Functional Analysis and Optinrization9(1987)に発表した. その他収束領域につき得られた若干の結果を本年5月31日から4日間シンガポールで開催される国際会議において報告する予定である.
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