研究分担者 |
大栗 博司 東京大学, 理学部, 助手 (20185234)
牧 二郎 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授
中野 董夫 大阪市立大学, 理学部, 教授 (00046806)
位田 正邦 神戸大学, 理学部, 教授 (00012310)
仙波 敬 愛媛大学, 理学部, 教授 (80033794)
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研究概要 |
本年度の研究実績は, 11項に見るように多岐にわたっている. ここでは本年度の実施計画に掲げた"研究課題"に関連づけて, 4項目にわたり報告する. 1.第一は本研究計画の中の柱の一つであり, 国際的にその発展が注目されている素粒子の弦模型についてである. 大栗らはリーマン面上の場の量子論のオペレータ形式を活用して, 弦理論の眞空配価の安定性を世界面上の場の理論の枠組で解析できる手法を見出した. この方法によって弦の量子論における摂動展開の異なる次数の効果を統一的に議論できるようになった. 斉藤は弦の理論を広田の双曲線型差分方程式の立場からとらえ, その解の性貭を研究し, 弦模型のもつ対称性はソリトン方程式のもつ, より大きな対称性の中で明確に説明されることを明らかにした. また弦の径路積分に関する研究もいくつかなされた. 久保はポアンカレー上半面における径路積分を行なう方法を開発し, ポアンカレー計量下での自由粒子のファインマン径路積分の厳密解を求めた. 2.素粒子の"複合模型"について安江らは超対称性をもつQCDと関連づけてクオーク・レプトン複合理論を研究し, また石田らはベーテ・サルピータ形式にもとづいてハドロン反応の振巾を計算した. 3."重力理論の量子化とトポロジー"に関する研究としては, 柏らによる「曲った空間上での径路積分の研究」が顕著である. 4.本研究計画の中の"場の理論の紫外発散の除去"の研究の一環である非局所理論の研究では, 田中らのユニタリティの物理的解明にかかわる研究がある. これは1953年Hayashiによって提起された, メラー・クリステンセン型非局所相互作用における高次での漸近性条件の破れの意義を, カノニカル型式から再考察し, その物理的意義を解明した. その結果を弦理論に適用し, ユニタリティの重要性を指摘した.
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