研究課題/領域番号 |
62302012
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 正 京都大学, 理学部, 教授 (70025261)
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研究分担者 |
大場 一郎 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10063695)
石川 健三 北海道大学, 理学部, 教授 (90159690)
石田 晋 日本大学, 理工学部, 教授 (80059154)
牧 二郎 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授
仙波 敬 愛媛大学, 理学部, 教授 (80033794)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | レプトン・クォ-クの質量行列 / CPのやぶれ / 非局所場理論 / 量子動力理論 / 中性微子の質量 / ゲ-ジ理論 / くりこみ群 / S行列のユニタリ-性 |
研究概要 |
本研究計画の目標およびその成果は、つぎのように要約される。 1.局所場理論における紫外発散と新しいくりこみ群の方法:はじめの問題は、Polchinski、Wilsonの考えにそう現代的なくりこみ群の方法によってくわしく検討された。それによれば、紫外発散の困難は単に結合定数群の“流れ"をきめる境界条件の選択によって回避され、“流れ"をきめるくりこみ群方程式は発散とは無縁であるとされる。それに対しては対立意見が提示される。つまりこの境界条件にこそ重要な物理、例えばレプトン・クォ-クの質量についての知識などが含まれている。従ってそれを単なる外から与えるパラメ-タ-と見るのではなく、むしろそれをきめる第一原理を追究すべきであると主張する。 2.弦理論など非局所場理論の有限性とユニタリティ-の問題:弦理論においてユニタリ-なS行列を導く新しい知見が、古くから知られる林の一般化されたYangーFeldanの方法を用いて得られている。これについては、このSー行列が林の漸近条件が破れている場合にも果して因果的な確率解釈を許すか否か今後の検討が必要に思われる。 3.レプトン・クォ-クの世代構造:この問題と深く関連して、昨夏以来のZーボゾンの崩壊についての精密実験(LEP)の結果が注目される。この実験結果は、本研究計画でも提案されたいくつかのレプトン・クォ-ク模型の中で3ー世代模型に優位を与えているように見える。しかしここで注意すべきこととして、同実験は中性微子が適当に有限質量をもつ4(あるいはそれ以上)世代模型を必ずしも排除していない。後者の模型は例えば左右対称なゲ-ジ理論から、いわゆるシ-・ソ-機構によって自然に導かれる興味ある可能性である。 総じて本研究計画は、90年代の素粒子物理学の展開にむけて、有意義な展望を与えるものであった。
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