研究分担者 |
本河 光博 神戸大学, 理学部, 教授 (30028188)
三浦 登 東京大学, 物性研究所, 教授 (70010949)
仁科 雄一郎 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90005851)
糟谷 忠雄 東北大学, 理学部, 教授 (30004245)
都 福仁 北海道大学, 理学部, 教授 (10000837)
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研究概要 |
昭和63年1月初旬に伊豆で開かれた本科研費総合研究報告会は, 国内3大強磁場施設の総合発表討論の場としての意義も合せもつもので, 現在我国で進められている強磁場研究の全容をとらえることができる. 以下に主な話題を取りあげて実績報告書とする. 重フェンミオン系物質の中でもURu_2Si_2は反強磁性と超伝導が共存する興味ある物質である. 我々はC軸に平行に磁場をかけ, この物質の異方的な3段のメタ磁性的な磁化を見出した. この磁化は強い角度変化を示し, 20°傾くと既に観測不可能になってしまう. またメタ磁性を起す磁場も僅かに角度依存性を示し, イジング的な角度変化に対応しているように見える. これはメタ磁性によって重フェルミオン状態が壊され, Uイオンのモーメントが現われるためと考えられる. その強度変化については今後の課題である. 高温超伝導物質の良質な結晶が国内で出来るようになり、世界に先がけて大阪で全温度領域にわたるHc_2とNormal抵抗の測定が行なわれた。これまではHc_2が大きすぎて現存の強磁場施設では測定不可能であったが、結晶が良質化するにつれて固有の異方的Hc_2が現われ、EuBa_2Cu_<3_OyでHC22=27.5Tが得られた。またこの物質は残留抵抗55ΗΩcmのメタリックな常伝導抵抗温度依存性を示すことが判った。高度な結晶成長技術と超強磁場発生測定技術とがうまく融合した我国の大きな成果の1つと言える。 その他, 量子ホール効果,構造相転移, 磁気分光学,価数揺動物質の研究に著るしい進展が見られた. また基本となる超強磁場発生技術についてもくり返しパルス磁場やコンポジッコイルによる実用超強磁場マグネットの開発等が積極的に進められた. 新しい研究分野も拓かれ, 強磁場とフラクタル, 生体高分子の磁場配向等の研究が開始された. 今後が期待される分野である.
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