研究概要 |
当初の研究計画にほぼ沿って実施され,本年度は日本海側の北海道から山陰地方までを北海道,東北,信越,北陸,山陰の5地域に分け分担し,各地域の層序(岩相,火山灰,微化石,古地磁気,年代)の確立と,地域内の対比に重点をおいて,調査・研究を実施し,現時点での対比試案をまとめることができた.この過程で岩相層序による従来の多くの研究では,時間面の設定がきわめて困難であり,あやまった対比や時代の推定がなされていることが,詳細に検討された各地において,化石層序,火山灰層序や年代測定の導入によって明らかにされてきた. さらに,地質事件・古環境などの問題についても明らかにされた.たとえば,前期中新世の年代と海成層の指摘,中期中新世の深海海盆に堆積した"硬質頁岩"および"黒色泥岩"の古生物学的,堆積学的,年代学的諸問題が注目,また,中期から後期中新世の時代の細分化と広域的な環境変化や地殻変動および海洋環境の変動の解明,そして鮮新世における拡大する海盆の古環境の解明は,今後の重要な課題になることが報告され,確認された. 昭和62年10月4日ー7日に,金沢大学理学部および能登半島において報告討論集合・現地討論集会を実施した.17名の分担者から,各地の層序の調査状況とその成果が報告され,さらに一定のフォームにしたがった各地域内の対比案が各地域グループから提示され,討論された. このほか,年5回のニューズレーターと年度未に研究報告書「古日本海 No.1」を発行した.購入したパーソナルコンピューターは,情報および文献の整理に使用されている.日本海沿岸地域の新第三系の層序に関するおもな文献を整理した.
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