研究分担者 |
今野 弘 東北大学, 理学部, 講師 (10004300)
歌田 実 東京大学, 総合研究資料館, 助教授 (50012406)
河原 昭 岡山大学, 理学部, 教授 (40012372)
中島 和一 神戸大学, 教育学部, 教授 (70030559)
本多 朔郎 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (50006631)
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研究概要 |
高シリカ沸石の代表的なものについて從来の研究を総括し,問題点を整理した. とくに,産状・生成条件と固溶体における組成変化についてまとめ,新しいデータを加えて検討した. 以下,新しい成果について記述する. 1.輝沸石一斜プチロル沸石系では,火山ガラスから斜プチロル沸石もしくはアルカリの多い輝沸石タイプ2が生成するが,変質作用の進行と共にカルシウムが増加するようになり,さらに4面体Siを置換するAlが多くなり,それに伴って2価陽イオンも増加して,輝沸石タイプ1を生じるようになる変化が追跡された. 2.ワイラケ沸石ー方沸石では低温において方沸石タイプIが生じ,濁沸石より高温部ではワイラケ沸石ー方沸石系の中間組成鉱物が生じている. これはCaに富んだ方沸石タイプIIで,ワイラケ沸石ではないことが明らかとなった. この事実が普遍的であるか否かについては今後検討すべき課題である. 合成実験からは天然における産出状況を説明するのに重要な根拠が与えられる. 3.積層不整について,モルデン沸石のグループには広く積層不整がみられる. とくに,ダッキャルド沸石は積層不整がきわめて頻繁に含まれる. ダッキャルド沸石はa^*ーc^*面に平行な平板状の逆格子ディスクを形成していることが解明された. 積層不整が生じる原因については今後の課題として残された. 4.変質鉱物としての沸石はきわめて微細な結晶として産出するので,分離して化学組成を調べるのが困難である. 從って,電子線を照射して発生する2次X線を捕捉して調べる方法がとられる. ところが,沸石類は多量の水を含有すると同時に,きわめて空隙が大きく,そこにアルカリ・アルカリ土類金属が存在することから,電子線照射によってアルカリ元素が散逸しやすく問題が多い. この点に関して実験を重ねたが,まだ検討中であり,引き続いて検討課題とする.
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