研究概要 |
コンクリート構造物の動的最終変形を明らかにする目的で以下に述べる研究を行った. まず, 実施計画書でも述べたように, 本問題は極めて複雑な現象であってRC構造解析の従来の理論のみでは致底扱えないと考えられ, 新たに, 有限変形理論を用いて, まず柱部材のみの不安定現象を数値的にとられることを試みた. その際, 問題を単純化するために, まず静的に柱が不安定になる場合をとりあげ, 曲げ剛性の劣化及びせん断剛性の劣化を考慮に入れた有限変形数値解析を行った. その結果, 柱が短い場合には, 特にせん断剛性の影響が大きく, 劣化の法則をより厳密にかつ正確にモデル化する必要のある事が認められた. 次に, フレームモデルに数値的研究を拡大し, フレームがどの様な変形経路をたどって最終的に破壊に到るか, 数値解析的な検討を行った. この数値解析は, 荷重のピークポイントを経過した後の収れんの問題など, 困難な障害があったが, 最終的に, フレームがメカニズムに達する以前にフレーム自身が不安定となる場合のある事, また, この場合にも, 部材のせん断剛性劣化の影響が大きい事, 破壊時のフレームのエネルギー吸収は, 従来から靭性率が同じであれば, ほぼ同じであると考えられていたが, 必ずしも, あてはまらない場合のある事などが判明した. フレームの剛性劣化は, 実は最終的に柱の鉄筋の座屈によって定まる場合が多い. このため, 特殊な仮想空間を考慮するラグランジュ未定定数法を用いた座屈解析のプログラムを開発しつつあり, 90%の作業を終えている. また, 実験的研究を平行して行っており, 本年度は, 柱座屈モデルの実験の準備を完了した.
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