研究課題/領域番号 |
62302062
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
太田 陽子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (80017714)
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研究分担者 |
木庭 元晴 関西大学, 文学部, 助教授 (40141949)
河名 俊男 琉球大学, 教育学部, 助教授 (60044955)
米倉 伸之 東京大学, 理学部, 助教授 (30011563)
大村 明雄 金沢大学, 理学部, 助教授 (70019488)
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キーワード | サンゴ礁段丘 / 南・北大東島 / 最終間氷期 / 隆起速度 / u-series年代 / 第四紀地殻変動 / ESR年代 / 隆起環礁 |
研究概要 |
フィリッピン海プレ-ト上に位置し、隆起環礁として知られる南・北大東島の第四紀地殻変動の特性を解明するために、両島において離水地形の精査と年代測定用試料の採取、230-Th/234-u法、ESR法、236-Ra/238-u法による年代測定を行なった。また、これら両島との比較のためにユ-ラシアプレ-ト上の喜界島、与那国島などでも野外調査と年代測定を実施した。得られた結果の要約は以下の通りである。1)南・北大東島の原地性サンゴの23-Th/234-u年代は、1試料を除いて115〜133Kaとなり、最終間氷期最盛期、isotope stage 5eに対応する。その産出上限高度は北大東島で8.1m、南大東島で11mである。2)現成のサ-フベンチとよく似た平坦面があり、離水ベンチと思われる。その高度は前者で約10m,後者で12.7mである。3)上記2点から、最終間氷期最盛期以降の両島の平均隆起速度は<0.05m/kaときわめて小さいことがわかった。4)ユ-ラシア大陸上に位置する島のうちで、海溝にもっとも近い喜界島では最終間氷期以降の平均隆起速度は1.5m/ka、琉球列島南西端では海溝側の波照間島で0.3m/kaであるのに対し海溝から離れた与那国島では<0.2m/kaとなる。両プレ-ト間、およびユ-ラシアプレ-ト上での海溝からの距離の差にもとづく平均隆起速度の差異が明瞭である。5)隆起環礁の存在は、第四紀地殻変動の向きがある時期に逆転して沢降から隆起に転じたことを示すが、その時期を特定する資料は得られなかった。6)一部の同一試料について行なったESR法、226-Ra/238-u法による年代はおおむね230ーTh/234ーu法による結果と一致しているが、細かくみると30kaに達する差があり、今後の検討を必要とする。7)異地性のサンゴの中には5eより若い80〜100kaのものがかなりあり、これらの時期に対応するサンゴ礁の存在を示唆している。しかし陸上にはこれら若い時期の離水サンゴ礁は存在しない。
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