研究分担者 |
江尻 慎一郎 岩手大学, 農学部, 助教授 (90005629)
内宮 博文 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (50142229)
高城 成一 岩手大学, 農学部, 教授 (60005999)
鈴木 昭憲 東京大学, 農学部, 教授 (90011907)
山田 康之 京都大学, 農学部細胞実験センター, 教授 (50026415)
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研究概要 |
1.ムギネ酸類生合成経路;(1)ムギネ酸類生合成の部位が根の先端部分であることを特定した. 根の細胞内のどこであるかは現在検討中である. (2)主な前駆体アミノ酸がメチオニンであることが, 14C標識アミノ酸投与実験により解明され, 13C標識メチオイン投与実験によりメチオニン3分子から合成されることが証明された. 同時に, 最初にできるムギネ酸類がデオキシムギネ酸か, アベニン酸Aのどちらかであることが明らかになった. 無細胞系ムギネ酸類合成系を確立し, 合成酵素を単離すべく現在準備中である. 2.ムギネ酸分解菌;Fe欠乏ムギ根表面より, ムギネ酸分解菌を3株単離した. 最も分解活性が高いMA1株は, シュードモナス属で, デオキシムギネ酸>ムギネ酸>ハイドロキシムギネ酸の順に速く分解することがわかった. これはムギネ酸類の進化の順序に対応するものと推定される. 3.Fe溶解力活性;低PH〜高PHに調正した土壌を用い,土壌中のFe溶解力活性を, 合成キレート剤,微生物のシデロフォア,ムギネ酸類で比較すると, 高PH条件下では, ムギネ酸類が最も高い活性を示した. これはアルカリ土壌におけるFe欠乏耐性植物の耐性能の主要因が, ムギネ酸類分泌力であることを強く示唆するものである. 4.ムギネ酸分泌の日周性;根からのムギネ酸分泌開始は,根の低温化が第一の条件であり, ひき続く温度上昇が第2条件となる, 植物生理上, 非常に深遠な現象であることが明らかになった. 従来推定されていた明暗の差は必須条件ではないと考えられる. 以上のように, ムギネ酸類合成関連遺伝子解明への接近は着実に進行している. 一方植物細胞への遺伝子導入と再分化させた植物での発現にも成功しており, ムギネ酸類合成遺伝子の他植物への導入と発現によるFe欠乏耐性植物の創作が具現化しようとしている.
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