研究分担者 |
倉田 忠男 お茶の水女子大学, 生活環境センター, 教授 (60011920)
五十嵐 脩 お茶の水女子大学, 生活環境センター, 教授 (40017231)
本間 清一 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (50017240)
島田 淳子 お茶の水女子大学, 家政学部, 教授 (60017233)
小林 彰夫 お茶の水女子大学, 家政学部, 教授 (40005591)
|
研究概要 |
近年の食生活の多様化にともない食品の加工技術の向上はもとより, その安全性や嗜好特性の研究, 食品品質の多面的解析は急務とされている. この中にあって, 食品の嗜好性, 調理性, 安全性を統一的にとらえなければならないという視点に立って研究を行った. 嗜好性に関して, 小林は食肉の煮熟臭成分の分析を行い, スープストック香気は成分間の相乗効果が大きく影響することを推定した. 倉田は果物, とくに,果汁中のビタミンCの香気に及ぼす影響を調べ, ビタミンCに由来する3ーヒドロシー2ーピロンが香気形式に重要な役割をもつことを示した. 調理性に関して, 田島は食肉を用いて実験を行い, 加熱調理によって筋漿蛋白質および筋原繊維蛋白質の可溶性蛋白質量が減少するが, 塩の添加によってその減少量が抑えられることを示し, 妻我もコラーゲンの溶出と加熱との関係について興味ある結果を得ている. また, 島田は加熱調理による野菜の軟化に関する実験を行い, 伝熱理論を導入した速度論的解析を行って, 軟化現象を一次反応式に近似させ, 最適加熱時間を推定した. 貯蔵性及び安全性に関して, 本間は貯蔵中の分離大豆蛋白質の極性脂質の変化を追跡し, ホスファチジルコリン及び他の憐脂質の分離を明らかにし, 糖脂質にも成分変化が起っていることを示唆した. また, 五十嵐は油脂の加熱安定性に及ぼす抗酸化成分の相互作用を調べ, αートコフェロールに対してアスコルビン酸はシネルギストとして作用しないけれども,アスコルビン酸の脂肪酸誘導体であるアスコルビン酸パルミテートはシネルギストとして効果のあることを示した. なお,本研究においては食品の安全性に関する実験が不足しているので, 今後このような分野での研究を増やして行きたいと思っている.
|