研究概要 |
日本化学会の教育部会の援助により昭和61年10月25日より,在京メンバーだけで四回にわたって, 準備会を行なった. その結果, 日本における化学教育を変えることは, 他の教科の教育方法をも変えることにつながるので慎重に司り組むべきである,との合意の上で活動を開始することになった. 今年度の本研究会は5回にわたって行なわれた,その活動の概略を示す. (1)高校における化学教育はいかにあるべきか,化学の大事なエッセンスは何か,について一般的な自由討議を重ねた上で,指導要領作成委員と自由な意見交換を行なった. その他にも,独創性を伸す教育方法と從来の教育方法とは矛盾しているとの点で意見が一致した. また教科書の頁制限に問題があるのではないか,との意見も出た. (2)現在実際に行なわれている大学入試問題集を配布して,手分けして検討を加え,高校の化学教育を育てる種類の問題はどのようにあるべきか,望ましくない入試問題はどのようなものであるか, について検討を重ねた. その結果としての見解を何らかの方法で出題大学に連絡する事を申し合わせた. (3)62年秋の討論会(九州)で本研究代表者である田丸が,"大学入試のあり方"について構演を行なった. 高校の先生の盾問の中に,指導要領から逸脱した問題があるが,これは大学側のルール違反であるとの意見があった. 大学側は指導要領の範囲内で作題する努力をすべきであろう. 本研究会で問題になったものは,単なる受験技術(丸暗書記)に頼る問題,必然性のない孔埋め問題,指導要領から逸脱した問題等であった. これらはいづれも出題・採点時の手抜き問題であるという点で一致した. 高校における化学教育は,大学入試問題から強い影響を受けるだけに,この種の研究は極めて重要なものと考えている.
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