研究課題
本研究会は過去3年間にわたり、全国大会化学入試問題を調べあげ、内容を検討し討論を重ねた。内容にいたっては千差万別、良い問題と感心させられるものもあれば、中には何故こんな問題を出すのかと首を傾けるものも数多くある。検討を重ねた結果、大学入試のあり方自体は、結局「高校の化学教育はどうあるべきか、何が大事で、何を問うことが良いことで、どんな問題が望ましくないかということを高校教育の基本に立ち戻って考える」ことが重要であると云うことになった。幸いに(むしろ意識的にそうした)本研究会の分担者が、単に化学教育の専門家であるだけでなく、「研究者」を柱にして構成されているだけに、「既成の化学」をどう取り扱うかと云うよりも、化学の本質に立ちかえって高校の化学教育はどうあるべきか、何がその「エッセンス」であるべきかについての掘り下げをしながら討論を行った。入試問題の検討はそこから判断しないといけないからである。分担者たちの意見は思ったよりもよく一致して、作業が進められた。しかし事柄の性質上、密室での議論だけでは望ましくないので、日本化学会の年会の時に出来るだけ機会を作りフォ-ラムを行った(東北・関東・近畿・九州)。大学や高校の先生に集まって頂き、広く関係者と話し合い、かつ意見を伺って、大学入試はどうあるべきか、今までのやり方の問題点はどこにあるか、どのように改善すればよいかについて議論を重ねた。このような機会においてわかったことは、関係者が例外なく猛烈に熱心かつ真剣な議論がなされたことであった。この真面目さこそ我が国の教育を支えているものではなかろうかと云う印象を受けた。こういう問題は息の長い対応が必要だから、これから先も何らかの方法を講じて継続的な研究が行われるべきであろうと云う感を深くした。
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