研究分担者 |
巌佐 庸 九州大学, 理学部, 助手 (70176535)
山村 則男 佐賀医科大学, 一般教育, 助教授 (70124815)
石井 一成 名古屋大学, 教養部, 助教授 (00037285)
安部 琢哉 京都大学, 理学部, 助教授 (00045030)
高畑 由起夫 京都大学, 理学部, 助手 (90183061)
|
研究概要 |
昭和62年9月には福岡にて研究集会をもち, それぞれの対象生物群における性の表現および性による行動上の差異に関して報告を行った. その結果, 広い分類群にわたって共通の理論的問題が存在することが明らかになった. たとえば, 植物・環形動物・魚類などには, 初めは一方の性を示し, 成熟すると同時的雌雄同体を示すようになる例が多数見られるが, これは既存の理論では取り扱えない. また, 交尾相手の不足する状況で, 内交配や自家受粉が起こることがダニでも植物でもみられるが, 近交弱勢の程度を取り入れた進化モデルの開発が必要である. さらに, チンパンジーのメスがオスによる子殺しを受け入れる行動の進化は, 交尾相手の選択に関する性淘汰理論を拡張することで扱える. 63年2月には, 京都にて第2回研究集会を開き, 主として繁植期における行動上の性差についての報告と討論を行った. 引き続いて「個体間協力と攻撃行動における性差とその起源」をテーマに, 総合研究(A)伊藤嘉昭班と合同の公開講演会を開いた. 種々の生物種を対象に, 各研究分担者とそのグループの得つつある知見を, 性的二型性という観点から相互に検討することによって, 共通する視点が深められたことの意義は大きいと考えられる.
|