研究分担者 |
石田 肇 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70145225)
土肥 直美 九州大学, 医学部, 助手 (30128053)
溝口 優司 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (00110106)
百々 幸雄 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50000146)
山口 敏 国立科学博物館, 人類研究部, 部長 (80000115)
|
研究概要 |
昭和62年度内に各研究分担者が行った研究成果の概要は以下の通りである. 1.前頭縫合の出現率について, 縄文時代から現代に至る日本人の問での時代変化, さらには東アジアから北米にかけての諸集団での地域変異を調べ, 分布特徴に基づいてその遺伝性を検討した(百々). 2.オホーツク文化系人について, 34項目の頭骨形態小変異の出現の有無を調べ,彼らの形態的特徴を明らかにした(石田). 3.東日本の古墳人と縄文人との間で, 非計測的形質の出現率と計測値の差異を明らかにして, 形質間の遺伝性の違いなどによって生じる方法上の問題を検討した(山口). 4.日本人双生児266組の全顎石膏模型から, 歯冠の非計測的形質の遺伝率を推定した(溝口). 5.長岡藩牧野家人骨の家系資料から, 頭蓋と四肢骨の非計測形質について, 世代変異と世代間の類似性を分析し, これらの形質の遺伝性を分析した(加藤・竹内). 6.多因子遺伝形質の出現率について, 集団遺伝学の理論的な分析を行うことによって, モデルの有効性を検討した(青木). 7.長野県辰野町などで採取した約400人分の全顎石膏模型に基づいて, 歯および口腔の諸形質について, 親子・同胞間における形態の類似性を解析した(酒井). 8.約200頭分のニホンザル頭蓋について, 分割舌下神経管を形態学的に, 発生学的に, さらには地域変異の文脈で分析を加えて, その遺伝性を考察した(毛利). 9.南太平洋のヒト諸集団および縄文時代人について, 外耳道骨腫の分布を調査して, その成因を遺伝学の見地から孝証した(片山). 10.ヤクザルと本州ニホンザルの間で, 頭蓋の非計測形質の分布を比較検討して, 個々の形質について遺伝性を考察した(黒田). 11.頭蓋と歯の形態小変異の出現パターンから, 集団埋葬墓の被埋葬者間の血縁関係を推定する方式を発展させた(土肥・田中). 62年10月と63年2月に京都で, 全員参加の研究会を開催し, これらの成果を相互討論することによって, 研究の深化をはかった.
|