研究概要 |
本年度は次年度以降の本格的な研究に向けて,研究材料の確保や交配などを行ったが,加えて,次のように若干の成果をうることができた. 病虫害抵抗性では,アソミノリの白葉枯病抵抗性の遺伝について予備的実験を行い,III群菌に対して圃場抵抗性を有することを明らかにした. 葉緑体変異と連鎖群では台中65号のM_2から多類の変異体を選択した. 穂相については,生産性との関連に着目して,愛知旭の突然変異系統の中から特徴的な穂相を示す系統を見出した. 粒形質についても生産性の立場から,大粒性遺伝子Lkーfの同質遺伝子系統を使って穂相に対する多面作用を明らかにした. 粒成分については,炭水化物に関する遺伝子として,新たにsugー2,shrー3を見出し,さらに,sugー1,shrー2およびshrー3には複対立遺伝子が存在することを明らかにした. 出穂性については,水稲品種銀坊主のガンマ線照射により15種類の突然変異遺伝子を検出し,それらを(1)感光性遺伝子,(2)基本生長性遺伝子,(3)基本栄養生長性と感光性を同時に支配する遺伝子,(4)その他に大別した. また,台中65号の晩生は愛国の早生に対して単劣性であり,台中65号と出穂期がほぼ等しいタイの陸稲との雑種ではF_1は両親より早生,F_2では早生15:晩生1に分離することを明らかにした. アイソザイムについては,33アイソザイム遺伝子のうち,13遺伝子の所属連鎖群を明らかにした. また,エステラーゼの4遺伝子座E_st_1〜E_st_4について,それぞれ対立遺伝子が2〜3個区別できることを確かめた. 染色体地図の作成については,相立転座系統の転座点の染色体上における位置を決定するため検鏡を行っている.
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