研究分担者 |
大内 成志 近畿大学, 農学部, 教授 (70026433)
浅田 泰次 愛媛大学, 農学部, 教授 (80036269)
奥 八郎 岡山大学, 農学部, 教授 (20033144)
久能 均 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20024573)
西村 正暘 名古屋大学, 農学部, 教授 (10032070)
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研究概要 |
信号因子識別とそれによって誘起される受容性・抵抗性反応過程を組識的に解明するために研究手法と最新情報の交換および討議集会をもった. 1.識別過程に関与する信号因子の単離・同定およびその生成機構: (1)イネいもち病菌の胞子発芽液の酢酸エチル可溶部からイネだけを選択的に感染誘導する信号因子を分離した. タバコ赤星病菌の生成する宿主特異的毒素を単離し,その生物的特性を解明,AT毒素と命名した. さらに,ナシ黒斑病菌のAK毒素依存の病原性発現における分泌酵素やメラニン合成能の関与を調べたところ,クチナーセ欠損株では病原性の抵下を示したが,ペクチン分解酵素欠損およびメラニン合成能欠損株は依然として病原性を保持していた. (2)疫病菌細胞壁からファイトアレキシンのエリシターを遊離するダイズ因子 (βー1,3ーendoglucanase) のクローニングを行ない,その遺伝子の全塩基配列を決定した. また,エリシターの構造が,βー1,6ー結合を主鎖とし, βー1.3ー結合の分枝をもつグルカンであることを明かにした. 2.信号伝達過程とその制御機構: (1)宿主特異的毒素の初期作用過程: 感受性ナシ品種の原形質膜にAK毒素結合物質の存在することを証明した。また,ACR毒素は感受性ミトコンドリアの膜電位障害を伴う脱共役およびNAD漏出を起すことが明かとなった。(2)過数感細胞反応におけるO_<2^-生活系の活性化との関連でCa^<++>依存性フォスホリパ-ゼA_2>が重要であることを明かにした。(3)エンバクのファイトアレキシン(アベナルミン)の生成とポリアミンの活性化の関係が明かとなった。 3.病原・非病原信号に対する細胞応答: 第1次作用点を異にするAK,AM,ACR,HMT毒素の初期作用過程と侵入菌糸受容との関係を詳査したところ, 宿主細胞における受容反応と原形質膜機能の障害過程が密接に関連していることを明かにした.
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