研究分担者 |
甲斐 秀昭 九州大学, 農学部, 教授 (60038198)
平田 煕 東京農工大学, 農学部, 教授 (70011872)
吉田 冨男 千葉大学, 園芸学部, 教授 (30109912)
小島 邦彦 東北大学, 農学部, 助教授 (70005669)
茅野 充男 東京大学, 農学部, 助教授 (10007677)
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研究概要 |
"根圏"を根による養分吸収と物質分泌あるいは微生物活動など, 多様な要因の錯綜した相互関係の働く動的な場として捕え, ここに生じる各種の作物生育制御要因の動態を関連諸分野の研究者の緊密な協を通して解明する目的の下に研究を開始し, 以下の結果を得た. 1.根の機能と根圏: (1)新たに開発した"rhizobox"を用いて, オオムギ根周辺土壌における無機イオン分布とこれに対する施肥条件の影響を解明した. (2)高速液クロ,^1HーNMR等の手法を利用し種々のイネ科作物・品種が鉄ストレス下で分泌するムギネ酸類の種類と量比を決定した. (3)鉄ストレス下でオオムギ根に出現するタンパク質4種を2次元電気泳動法により検出した. (4)コムギ品種の無菌培養実験の結果, Al耐性品種は非耐性品種に比し著しく多量のリンゴ酸を分泌することが判明した. (5)根による物質分泌のメカニズムと分泌物が根圏土壌中のイオンの動態および根のイオン吸収に及ぼす影響に関する既往の文献,データの集約, 整理を行った. 2.根圏微生物の動態: (1)水稲圏のCo_2は生育初期には主に根に由来し, 後半には根圏微生物に由来した. これらの一部には生成後直ちにメタンに転換される. (2)水稲根圏における窒素固定細菌の動態を精査の結果, 移植期には多様な菌群が存在し, 水稲生育の進行に伴い好気性菌, 嫌気性菌とも特定のグループに集中する傾向を示した. Clostridiumは全期間存在した. (3)土壌中の全菌数に対する難溶性リン酸塩溶解菌数の比率は, 一般に系状菌>細菌>放線菌の順. 予想に反し, 溶解菌数は根圏と非根圏土壌の間で大差ない結果をえた. (4)鉢植ヒヨコマメのP,K吸収および生育は, VAミコリザ感染により顕著に促進された. 一方, 圃場の冬コムギの場合は概して茎葉重と感染率の間に負の相関がみられ, VAミコリザが植物に対し寄生的関係をとるものと評価された.
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