研究課題
総合研究(A)
根圏は根と土壌の接点をなし、土壌中で絶えず生長を続ける根の吸収・分泌活動の影響力の直接及び動的な場であり、その場の特性は根の生長と機能の制御を通して植物の生育に多大の影響を与えるものと考えられる。本研究では、根圏の場に生起する各種の作物生育制御要因の実験的な解明・把握とその達成のための新たな視点や研究手法の開拓を目差し、関連分野の研究者の有機的な連繋のもとに各分担課題の検討を進めてきたが、今般これらの研究成果をそれぞれ下記の標題のもとに取りまとめるに至った。1.オオムギ根におけるムギネ酸の分泌と鉄の溶解吸収(岩手大農学部・高城成一)2.根圏におけるカチオンおよびアニオンの分布(東大農学部・茅野充男)3.根による有機化合物の分泌とその生理的意義(北大農学部・但野利秋)4.初期生育の鉄欠乏イネ(ホウネンワセ)におけるムギネ酸類縁化合物(MAs)の動態(東大農学部・森敏)5.コムギの根分泌物質とアルミニウム耐性(東大農学部・小島邦彦)6.植物根のH^+、HCO_3^-放出とその根圏土壌における意義(広島大生物生産学部・安藤忠男)7.水稲根圏のおけるCO_2の挙動(名古屋大農学部・木村真人)8.根粒菌以外の窒素固定細菌(千葉大園芸学部・吉田冨男)9.VAミコリザ(Vesicular Arbusscular Mycorrhiza)と作物生育-腐植質黒ぼく土における観察事例-(東京農工大農学部・平田煕)10.難溶性リン化合物溶解菌(九州大農学部・甲斐秀昭)以上により、作物根圏の物理化学的諸要因や養分元素可溶化の微生物的及び根による自律的制御の様相の一端が解明されたが、残る多くの未詳の部分への挑戦が今後の課題である。
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