研究分担者 |
中村 薫 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (40041719)
大村 百合 名古屋大学, 農学部, 助手 (50023479)
坂本 亘 京都大学, 農学部, 助教授 (50013587)
山森 邦夫 北里大学, 水産学部, 助教授 (80012029)
麦谷 泰雄 北海道大学, 水産学部, 助教授 (50001615)
|
研究概要 |
本研究は代表的水産動物を対象として個体,器官,細胞などのレベルで日周活動リズムを記録, 解析すると共にリズム形成の機構を解明することを目的としており, 今年度は主に日周活動の精確な把握を目標に研究を進めた. 現在までの進展状況は以下のとおりである. 1.潮汐流, 海流に乗つてヒラメの稚魚が輸送される際に,日周活動変化に基づく鋭直移動が集群化と生き残りに有利に作用する. 2.魚類の日周活動はその要因に従って,概日リズムに基づく場合(内因的),単に環境の明暗サイクルに対する反応である場合(外因的),および両者が混合する場合に分かれる. 3.ニジマスにおける耳石日周輪の形成は,初期は明暗サイクルが決定的要因であり, 6L6Dにも応じうる. 4.ニジマスやアユの松異体光受容細胞では, 一般に網膜視細胞で知られるように,昼夜の交代に応じた形態変化ー求心的シナプスリギンの増減,外節層板膜の脱落と大食細胞によるとり込みなどが示される. 5.数魚種につき血中メラトニン濃度をラジオイムノアッセイ法で測定したところ,一様に夜間に高く,昼間に低い顕著な日周変動がみられ,しかもこの変動は全暗下ならば数日間は持続した. 6.クルアエビについては, 夜行性活動(摂食)リズムが眼柄の除去やスライス切断実験により, 経髄部に由来することか明らかとなった. 7, アサリの殻開閉リズムは実験室内でも継続し,同調因子としては明暗よりも干出刺激が有効である,サーカタイダルリズムとの関連が強い. 今後は, これらの周期的活動の解析を進めると共に,周期性における内的要因の役割を明確にし,合わせて水産現場への応用を検討したい.
|