研究分担者 |
市田 文弘 新潟大学, 医学部, 教授 (90018292)
内田 俊和 日本大学, 医学部, 助教授 (80060078)
江角 真理子 日本大学, 医学部, 講師 (60160363)
清水 洋子 国立予防衛学研究所, 研究官 (00142357)
小野 魁 日本大学, 医学部, 教授 (30004675)
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研究概要 |
非A非B型肝炎には輸血後の非A非B型肝炎と流行性の非A非B型肝炎の2種類がある. 本研究の目的はこれらの肝炎を引き起こす起因ウイルスを発見することである. 輸血後の非A非B型肝炎の起因ウイルスはまだ発見されていないが, 流行性の非A非B型肝炎の起因ウイルスを発見することに成功した. 1.流行性の非A非B型肝炎:ビルマでの患者の糞便材料をかにくいざるに接種して, 肝炎を引き起こすことに成功した. 接種した猿は100%肝炎を発症し, 更にその糞便での継代実験にも既に3代成功した. 肝炎の組織像はヒトあるいはチンパンジー, マモセットのウイルス性肝炎と同様であった. トランスアミナーゼのピーク前1週間の糞便に直径32〜34nmのウイルスが発見されたが, その前後又コントロールの猿の糞便にはウイルスは見つからなかった. 現在ウイルスの精製, 抗体の作製などを行っている. 2.輸血後の非A非B型肝炎:チンパンジー及びヒトの回復期のリンパ球をEBウイルスでトランスフォームして非A非B型肝炎に関連したモノクローナル抗体を取る作業を進めている. しかし何回繰り返しても一番簡単に取れるのはmicrotubular aggregateに対する抗体である. Microtubular aggregateの抗原は既にその精製も終わり, 中西教授によりそのcDNAも取られた. しかしこのcDNAを細胞のDNAに当てると細胞のDNAに含まれていることも明らかになった. つまりmicrotubular aggregateは非A非B型肝炎ウイルスの感染により特異的に発現される細胞の蛋白である. 又この抗原は肝臓のみでなく副腎皮質の細胞にも発現される. 又マモセットでは非A非B型肝炎に感染すると細胞質内にみられる封入体がこの抗原性を獲得することも明らかになった. 従ってこの抗原をメルクマールにすればマモセットも感染実験に使用可能である. 現在ウイルスの遺伝子でコードされている抗原に対するモノクローナル抗体を取るべく努力している.
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