研究分担者 |
豊倉 康夫 都老人医療センター, 院長, 東京大学名誉教授 (50009875)
伊藤 正男 東京大学, 医学部, 教授 (90009887)
萬年 徹 東京大学, 医学部, 教授 (10010208)
永井 克孝 東京大学, 医学部, 教授 (80072974)
朝長 正徳 東京大学, 医学部, 教授 (10072977)
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研究概要 |
本研究は病態に陥った脳組織が如何に修復されるか,その機序を明らかにし,健全な脳機能保持への道を解明することを目的としている. これは私共が脳浮腫病巣を連続的に観察した結果,死に陥った神経細胞群がグリア細胞か,脳浮腫液中を移動する食細胞かによって除去され,グリア細胞は細胞分裂を招いて移動し,生存ニューロンだけを再被覆するなど,巧妙な機序の下で修復されている知見を得た事に基づいている. 本研究分担者達は,修復過程とその機序の解明により,最少の機能損失をもって治癒に到達する至適条件を求めることを目標としている. まず(生田ら)は浮腫性脳病変の中で神経細胞のみを選択的に変性させる疾患を用い,シナプスやアストロサイトの動態に注目しつつ検索を進めている. (朝長ら)は人脳の発達と老化の関係,脳病変修復における神経成長因子との関連,神経細胞脱落の程度と症状との関連. 健全な脳機能保持者における特性,老化および痴呆脳における修復機序等々について検討しつつある. 又(平井ら)は変性神経細胞が如何にしてアストログリアによって清掃 除去されるかを検討している. 他方(井原ら)はニューロンと変性と残存過程夫々における分子生化学的特徴,アルツハイマー病における原線維の変化はユビキチンからなること等を解明しつつある. (熊西ら)は核酸の基礎的研究の面から,(永井ら)はガングリオシドを中心とした解析を進めている. (萬年ら)はこうした修復過程を主として臨床生理学的側面から,(伊藤ら)はこうした過程における可塑性の生理学的側面を小脳に関して追求し,(豊倉)は特にALSにおける皮膚のコラージェンを中心にした変性について,極めて重要な点を指摘した. 我々は更に研究者相互の緊密な打ち合わせによりその意義,方向を考え乍ら目的に近づく努力を重ねてゆく.
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