研究概要 |
従来, 歯周病の研究は歯周病原(Periocontopathic Bacteria)など感染源を主体とする研究方法が開発されて来たので今後, 宿主である細胞機能の病能発現機序を解明することは極めて重要になって来た. そこで, 本研究は歯周組織構成細胞である歯肉線維芽細胞,骨芽細胞ならびに歯根膜細胞のみならず, 免疫担当細胞と考えられるリンパ球マクロファージならびに白血球などがどのような相互依存性と病変侵襲に応答するかを基礎医学的(斎藤,森,筒井,北野,梅本,見明,高橋,亀山)ならびに臨床的(石川,青野,村山,飯田)に研究した. その結果, Periodontopathic Bacteraの中からB.GinegianlisならびにA.Visoosas菌体破壊上清によるMacrophage由来物質による宿主細胞への影響をGin-1,h-pulp Fibroblastならびにh-Periodontal Liganent Fibroblastについて検討(梅山),Collagenase活性, PGE_2産生能の特異的応答性を見出した. 一方, 免疫担当細胞由来の液性因子であるcytokine特にMacrophage由来のrh-I L-1,rh-TNFならびにI-Cell由来のrM-IFNが骨芽細胞を介する骨吸収ー破骨細胞の活性化にいかなる影響を有するかを検索(北野)した結果,DNA,ALPase,Collagenase活性ならびにPGE_2産生に関与することが強く示唆された. さらに, 造骨糸細胞の1つと考えられるヒト歯髄線維芽細胞はB.Givyivalis,菌体で刺激したヒト単球上清によりタンパク合成能ならびにALPase活性を増加させたが, 乳歯由来の細胞にはその変化はみられなかった(森)また, 歯周疾患におけるBーリンパ球の増殖に対する抑制因子(BIF)の役割(飯田)について詳細な報告がなされた. その他に, 機械的外力によるヒト歯根膜細胞の増殖抑制と細胞伸展物質の合成(斎藤),歯周組織への毛細管分布特性(高橋),歯肉のBasal La inaの動能(亀山),歯根膜細胞のクローン化(見明),B,Cellの超微構造(筒井)白血球の遊走能(石川),B.Gingivalis血中抗体(青野)ならびに歯周病原菌の生物活性(村山)の研究を通して, 歯周組織の諸々の細胞機能ならびにその応答性が検索された.
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