研究分担者 |
谷 嘉明 京都大学, 医用高分子研究センター, 助教授 (90026881)
熊崎 護 大阪歯科大学, 助教授 (80066985)
庄司 茂 東北大学, 歯学部, 講師 (10142986)
松本 光吉 昭和大学, 歯学部, 教授 (80038885)
神山 紀久男 東北大学, 歯学部, 教授 (20013881)
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研究概要 |
口腔領域の主な疾病は硬組織のものであり,齲蝕, 象牙質知覚過敏, 歯質刺激による歯髄の異常反応などの処置は歯質を削除することによってなされてきている. 本年度はこれら歯牙組織疾患をレーザーの光学的特性を用いて歯質の削除なしに処置しようとするもので, エナメル質への耐酸性付与を含め高度な先進医療技術の一つとして研究を進めたものである. 本年度に新たに得られた知見は次の通りである. 1.健康なヒトエナメル質にエネルギー密度30〜50J/cm^2のNdーYAGレーザーを照射すると, 被照射部位のエナメル質は酸溶液中でのカルシウム・イオンの溶出が約50%抑制された. 走査型電子顕微鏡でエナメル質の表面を観察するとレーザー照射後のエナメル質表層はグレージングを生じているが, 酸溶液で処理後のエナメル質表層も溶解することなくグレージングは保持されていた. このことはレーザー照射すると被照射部位のエナメル質は高い耐酸性を帯びることが示された. 2.健康および齲蝕象牙質にNdーYAGレーザーを照射すると, 生体反応として象牙細管が狭窄することが走査型電子顕微鏡によって認められ, また歯髄側には二次象牙質の形成が促進されることが光顕並びに電顕レベルで認められた. 3.象牙質に知覚過敏を訴える症例に低エネルギーレーザーであるHeーNeレーザーを照射すると明らかに除痛効果を示す症例があった. 4.NdーYAGレーザーを石英ファイバーで導光すると, レーザービームは中心部にエネルギーが高く周辺に低い. この不均質性はファイバーへの外部よりの圧迫により減少した.
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