研究課題/領域番号 |
62304057
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山之内 孝尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40029765)
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研究分担者 |
宮本 博行 和歌山県立医科大学, 教授 (90029778)
木村 通郎 関西鍼灸短期大学, 教授 (50111745)
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 部長 (50012779)
堂前 嘉代子 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80127266)
山西 弘一 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (10029811)
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キーワード | 流行性出血熱 / 腎症候性出血熱 / HFRSウイルス / 実験動物 / ラット |
研究概要 |
当班は昭和53年以来動物実験に伴う腎症候性出血熱(HFRS)の予防制圧を究極の目標として活動した科研研究班の最終段階の任務を負うものである。昭和59年末まで発症機関数22、患者数は126に達したが、昭和60年以降発症は停止している。この間、当班では発症状況の調査、解析して散発的発症、汚染区域の限局性、汚染源が実験ラットである、発症及び汚染ラットの自然停止・消滅などの事象の把握から病因ウイルスの感染性を考察してこれを分離、検査診断体制を確立した。班では毎年研究成果と集積した情報を内容として報告書を作成し、昭和56年から「本症診断の手引、予防指針」を併記して各機関に配布した。同年以降の発症者の減少と昭和60年以降の停止は動物実験に関与する人々の本症特にその予防制圧に対する認識が周知徹底した結果と考える。施設の汚染要因である汚染ラットの購入、汚染野鼠の侵入が確認された。死亡率、症状・経過からラット由来のHFRSウイルス株は原株よりも人に対する病原性が弱いとされているが両ウイルス株間の抗原群の異同、粒子サイズ・表面構造・形状の差異、新生仔ラット由来株がラットに対し致死効果を示すが原株接種はその成長にも影響しない等媒介動物を異にするHFRS各株の性状について顕著な差異があることが各班員によって明らかにされた。感染様式として血液、体液、排せつ物、臓器に由来する感染性エアゾルの経気道感染を主とし創傷感染も実証され、汚染ラットの観血的実験が実験者への感染発症の大きな要因であることが推定された。汚染ラット腫瘍からのウイルスの自然ならびに実験的消去も実証された。動物実験に伴う本症発生の予防制圧は品質管理された実験動物を用い的確な環境で飼育し正確な技術で実験を行う、すなわち科学的動物実験が基本であることが確認された。現在HFRS発症は動物実験の場では制圧され、班研究の目標は達成されている。
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