研究課題/領域番号 |
62304058
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
梁瀬 度子 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (60031663)
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研究分担者 |
五十嵐 由利子 新潟大学, 教育学部, 助教授 (80018655)
菊沢 康子 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (80033702)
徳田 哲男 東京都老人総合研究所, リハビリテーション医学部, 主事
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キーワード | 高齢者 / 居住環境 / 温熱適応 |
研究概要 |
昨年度の全国に亘るアンケート調査をもとに、本年度は高齢者の温熱環境とその対応に関して、フィールドにおける実態測定と聞きとり調査、並びに実験室実験の3種の研究を行った。 1.フィールド測定では昨年度の調査地域の中から、新潟、愛知、大阪、広島、大分の5地区を選び、夏季と冬季における高齢者の住宅の温熱環境と皮膚温の連続測定と同時に寒暑感や住まい方などを調査した。その結果より高齢者男女計36名、大学生男女計29名の記録を得た。これまでの分析結果より、調査対象の高齢者は夏季は概ね良好な住宅環境にあるが、冬季は全般に低い温熱環境に居住する傾向がみられ、大学生に比し気温の変化に伴う皮膚温の高低が表われる一方、寒暑の感覚申告では変化に即応しにくい傾向があるなど、高齢者の温熱対応の特徴がつかめた。 2.聞きとり調査は、岩手及び兵庫の2地区において訪問面接による住み方調査および室温測定を行った。その結果、着衣量や住み方対応では明らかに地域差が顕著に認められるが、冬季、岩手の室温が高温であるにも拘らず、外気温の日較差が大きいために寒さに対する評価が悪く、住宅の室温と居住者の寒暖評価の間にはあまり関連性がみられず、高齢者の温度感覚機能の低下が窮えた。 3.上記の実態調査結果を考察するための実験的研究として、高温時における自由選択気流速度と皮膚温との関係、冬季寒冷下における室温急変時における身体反応について検討した。両実験結果から、高齢者の共通的特性として、循環機能の低下からくる温熱的変化に対する防御反応の遅延と低下、および熱平衡状態に対する主観的反応の遅延傾向が顕著に認められた。 以上の研究結果をもとに、高齢者の温熱適応能力の特性についてまとめ、高齢者のための望ましい温熱環境の提案を行う予定である。
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