研究概要 |
昭和62年度研究実施計画に6項目の目標をかかげた. その全項目にわたって研究の進展がみられたので以下に報告する. 1.視細胞における情報変換チャネルの精製: タコ視細胞イオンチャネルのオープン状態に特異的に結合するリガンドとして「グアニジン」が有望であることがわかった(高木). グアニジンラベル法により昭和63年度には視細胞イオンチャネル分子が単離できる可能性が出てきた. もちろん「平面膜」での組み込みとチャネル電流の検出にも成功した(高木・平田・津田). 2.Kチャネル・アニオンチャネルの平面膜への組み込み:筋小包体のアニオンチャネル,視細胞のKチャネルを可容化し「平面膜」に再講成することに成功したので,現在その分離・精製の程度を引き上げつつある(葛西・平田). 3.イオンチャネルのmRNAの調製: ラット脳mRNAをアフリカツメガエルの「卵母細胞」に注入する実験によって,Gタンパク質の活性化を介してClチャネルにえいきょうを及ぼす代謝調節型グルタミン酸受容体を見出した(杉山). 4.ポンプ分子・共輸送系分子の平面膜への組み込み: プロトンポンプ分子,H,KATPaseの活性を阻害するモノクロナール抗体が同時にClチャネルも阻害することから,H,KATPaseの構造の一部にClチャネルが存在することを明らかにした(竹口). Lーリシン輸送による輸送電流の実体は, H^+やNa^+ではなくリシン分子自体であることがわかった(星). 平面膜実験実施中. 5.平面膜法の評価:ティップデイップ法および巨大リポソームパッチング法におけるギガシール条件を確定したので以後の適用範囲が拡がろう(高木・桐野). 6.電顕による構造解析:Clチャネルタンパクをフリーズフラクチャー法により電顕解析する条件を決定(藤墳・若林).
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