研究分担者 |
佐々木 伸雄 東京大学, 農学部, 助教授 (60107414)
板井 悠二 東京大学, 医学部, 助教授 (30010268)
菅沼 常徳 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (50063970)
大石 勇 東京農工大学, 農学部, 教授 (50014915)
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
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研究概要 |
本研究の最大の目標は獣医学領域における従来の画像診断法とX線CTを比較することにあるガ,今年度は交付決定が遅かったこと,X線CTの購入ができず他の施設の貸用も容易でなかったことなどのため,十分な研究が進まなかった. そこで第一に犬,猫の各種症例を対象として通常のX線検査と超音波断層検査(エコー検査)を行い,両者を比較した. 第二に犬を用いていくつかの胆嚢疾患モデルを作製し,両者を比較した. 第三に水頭症と思われる犬の2症例および健康な雑種成犬1頭にX線CTを実施し,その画像について解析した. その結果,エコー法は心臓内の弁の運動,肝,腎などの実質臓器の内部病変,腹水,胸水が貯留する疾患など,通常のX線検査では確認し得ない部位の診断には有用であるが,画像の鮮明度,エコーレベルに関するアーティファクトなどの点で問題があった. また,肝臓内の小腫瘤に関してもある一定以上の大きさがないと確認が困難であると同時に,横隔膜に近い肝内病変の検索は容易でなかった. 一方胆嚢疾患モデルとしては4頭の雑種成犬を用いて胆嚢炎および胆管閉塞を作製したが,胆嚢の形状はX線造影およびエコー法に差はなかった. しかし胆嚢壁の肥厚,浮腫等の変化はエコー法によってのみ観察され,この部位の検索にはエコー法が優れていると思われた. 水頭症犬および健康犬のX線CTでは脳室はきわめて明瞭に確認され,この部位のX線CTの有用性が認められた. しかし脳の断層構造はヒトのように明瞭に描出されず,今後撮影法,条件等の検討が必要と思われる. 次年度は幸い(株)日立メディコの御厚意でX線CTの借用が可能となり,本学家畜病院に設置されるため,撮影に関する基本条件を早急に検討し,各種症例および疾患モデルを用いてX線検査,エコー検査,およびX線CTの有用性を総合的に評価する予定である.
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