研究分担者 |
三宅 有 東京医科大学, 麻酔科, 教授 (90074476)
小沢 高將 名古屋大学, 医学部・第二生化学, 教授 (80022771)
吉武 潤一 九州大学, 医学部・麻酔, 教授 (10041386)
吉村 望 鹿児島大学, 医学部・麻酔科学, 教授 (60041399)
菊田 好則 帝京大学, 医学部・麻酔科学, 助手 (30129994)
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研究概要 |
ショックの病態生理の細胞レベルでのメカニズムの研究を5施設が分担して以下のような成果をえた. 出血ショックでの脳局所血流及び局所酸素分圧を皮質及び深部で同時に測定した. ショックによる低血圧の度合を変えるにつれ,皮質の血流,酸素分圧は比較的よく維持されるのに,深部では次第に低下して脳は自働調節能を失ってくることがわかった. ラットを用いて出血性低血圧モデルを作成し,肺のライソゾームの組織学的変化を観察し,同時にライソゾーム酵素活性の測定を行い,ショック時におけるライソゾームの変化を調べた. その結果ライソゾームの構造的な破錠とともにライソゾーム内の酵素外へ遊離していることが確かめられた. ショック動物では細胞内エネルギーレベル(ATPレベル)の著明な低下がおこる. Dichloroacetateはピルビン酸脱水素酵素活性を高める物質である,その投与(125mg/kg)によってショック動物の生存率が改善された. ショック時にはミトコンドリア膜の物質移行が障害され代謝異常の原因となると考えられた. 好中球よりリノール酸を基質として生合成されるロイコトキシン(9.10ーエポキシー12ーオクタデセン酸)の心血行動脈におよぼす作用をイヌにて検討した. ロイコトキシン50umol/kgの投与によって大動脈流量,脈圧,左室内圧微分が低下し,投与60分以内に死亡した. 著しい好中球の増加を伴う重症感染時にはロイコトキシンは心機能を抑制すると考えられる. 心室細動誘発による心停止犬の脳皮質mitochondria呼吸活性(RCR,ADP/0)は心停止5分,10分で各々対称値の83〜92%,70〜76%と低下したが治療開始後180分では67〜94%と適切な治療によっては,ほぼ対称値に復した. 脳組織eneray chargeは心停止7分で0.4と低下したが,治療開始後180分では0.80〜0.85と対称値に復した.
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