研究課題/領域番号 |
62400002
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 二郎 京都大学, アフリカ地域研究センター, 教授 (30027495)
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研究分担者 |
重田 眞義 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助手 (80215962)
太田 至 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (60191938)
荒木 茂 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (00158734)
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (50115789)
伊谷 純一郎 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10025257)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1990
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キーワード | アフリカ / 民族植物学 / 民族動物学 / 植物認知 / 植物利用 / 動物認知 / 動物利用 / デ-タベ-ス |
研究概要 |
本研究では、アフリカ大陸における動植物資源の利用の実態を把握するために、これまでに収集された資料を整理してデ-タベ-スを構築すること、そして、それを活用して民族植物学および民族動物学的な比較研究をおこない、各地域や民族の資源利用の特質を解明することを企図した。デ-タベ-スは、将来多くの研究者が利用しうるものにするために、京都大学大型計算機センタ-の協力を得て、同センタ-内に構築した。デ-タは、総件数約9000件を集積しており、なるべく早い時期に全国公開して一般の利用に供する予定である。 本研究では、とくに植物利用について多くの資料を集積することができた。アフリカの諸民族は、野生植物について詳細な知識をもち、多くの植物を独自の観点から分類・命名しているとともに、非常に多種の植物を食用や薬用、道具製作の素材など、多彩な方法で利用している。熱帯多雨林という同一の環境のもとで生活している狩猟採集民と焼畑農耕民について、生業や民族の違いによる植物の利用方法の異同を検討した結果、以下の点が明らかになった。狩猟採集民は農耕民よりも、はるかに多種の野生植物を食用としているが、薬用植物については、むろん、狩猟採集民よりも農耕民のほうが多くの植物を洗練された方法で利用している。また、物質文化のための素材という観点からみると、簡素な生活を旨とする狩猟採集民では、80%以上の道具類が野生植物をもちいて製作されているが、その多くは、その場で即製され、一度限りの使用で使い捨てられるものである。物質文化にもちいられる植物の総種数は、むしろ農耕民の方が狩猟採集民よりも多くなっている。これらの成果は、近日中に出版を予定している。また、本研究によって構築したデ-タベ-スは、その性格上、今後も資料を追加して、より充実したものにしてゆく作業を継続することが不可欠であることも確認された。
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