研究概要 |
本研究は、心身障害児の体力管理に寄与する有効な生理的諸指標の抽出と、それを利用した自動的な管理システムの構築をめざしたものである。 まず、障害児の体力(積極面と防衛面の両面を含む。)管理に関与する疾病、障害等の概念規定と分類について、WHOの国際分類・定義及び米国のDSMーIII・DSMーIV定義等を参考として検討を加えた。 次に抽出された生理諸指標間及び体力管理への関係について、一定の確率をもった危険水準を設立するために、2変数間の変動を各変数の標準偏差(σの倍数で表現)と歪度(標準偏差の3乗)によって表現する手法を導入した。(σ:シグマ) さらに、それら各種の体力管理上、注目される危険水準を管理者(教諭、養護教諭、保母、看護婦、栄養士等)に自動的に提示出来る一種の診断用エキスパ-ト・システム(推論エンジンを内蔵する。)の開発も合わせて実施した。 これら三要素を、実際の教育場面における難治性レノックス型のてんかん児の発作等の管理、ぜんそくの予測肺活量1秒率(FEV1.0/VCp,呼出力と気道の抵抗を示す。)の管理、さらには、血友病の年間出血状況(有症率)の管理に応用し、これら重度の心身障害児の教室における活動のみならば、特に寄宿舎における夜間の体力管理に一定の成果をあげた。 一方、ぜんそく児の発作等への訓練上の対応として、水泳・サ-キットトレ-ニングなどの方法をとり入れて、その効果の測定も合わせ実施した。
|