研究概要 |
1.観測の実施:毎月1回, 米国の3局と鹿島局の運用により24時間観測を滞りなく終了した. 水沢から鹿島に毎回3名の観測要員を巡遣し,約20巻の磁気テープに準星からの電波を記録し,これを米国海軍天文台の相関処理センターに送付して相関処理を行い,得られた結果を磁気テープ1巻にまとめて水沢に返送し,水沢ではそれを解析して地球回転の変動を解析するという一連のルートを確立した. 2.解析結果:水沢独自の解析ソフトウエアを開発して,太平洋ネットワークで取得されたデータを解析した. その結果,a) 太平洋ネットワークは世界一の精度で地球回転の変動を決定できることが証明され,またb) 米国のソフトウエアと水沢のソフトウェアでは,結果に一定の差を生じることが分った. 目下原因を究明中である. 3.観測局の位置変化:アラスカと鹿島は,想定した位置よりも10センチメートル程度ずれていることが分った. これはプレート運動によるものと考えられるので,その詳しい大きさの決定について検討中である. 4.発表,出版:8月にカナダのバンクーバーにおける第20回国際測地学及び地球物理学連合総会,また10月に北京で開かれたおいて,太平洋ネットワークに関する報告を行った. また国際地球回転事業の中央局(パリ)には結果を報告した. 5.通信システムの整備:VLBI観測においては,衛星通信が不可欠である. 昭和62年度には,米国,ヨーロッパのみならず,中国との通信も可能にするシステムを整備した.
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