研究分担者 |
浜津 良輔 東京都立大学, 理学部, 助手 (20087092)
今西 章 東京大学, 原子核研究所, 助手 (90013408)
石井 孝信 東京大学, 原子核研究所, 助手 (90134650)
二宮 正夫 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (40198536)
奥野 英城 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (10013400)
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研究概要 |
実際の電子・陽子衝突実験の測定装置として用いるのと類似のハドロンカロリーメーターを建設し, その基本的特性を測定した. その際, 各部品について, 性能, 経年変化等の検討を行なうとともに, エネルギー分解能向上のための新方式の試験を行なった. 今年度, 特に重点を置いた研究は, 以下の開発研究である. 1. 発光量, 光の透過性, 耐放射線性の優れたシンチレーター開発 2. 透過型光電子増倍管の高磁場中での特性測定と改良 3. カロリーメーターの電子およびパイ中間子に対する出力比(e/π比)測定 4. エネルギー分解能向上のための吸収材の検討 試験用に製作したカロリーメーターは縦,横,奥行きが各60cm, 60cm, 120cmで, 縦横それぞれ3分割, 合計9個のユニットから成る. 吸収材として鉛, 検出層にはシンチレーターを用いた. 最近の理論的研究から鉛とシンチレーターの厚さの比が3〜4の場合, e/π比が1となると予想されたので, 鉛は厚さ8.5mmシンチレーターは2.6mm厚(一部2mm)を採用した. 試験には, 原子核研究所の電子シンクロトロン, 高エネルギー物理学研究所の陽子シンクロトロンを利用し, 最高4GeV/cまでの電子, ミュー粒子, パイ中間子を入射した. 測定結果によれば, e/π比は入射エネルギー依存性を示し, 4GeV/cでは1.2であり, 予想値の1とは違った. しかし, エネルギー分解能は, 従来得られている最良の性能を示した. 今後, 国内でより高いエネルギーのビームが使用できるようになり次第同様の試験を続けるが, 試験用カロリーメーターを使って, 信号経路の較正, 電子・ハドロン分離等の系統的な研究を行なう.
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